【完全版】BLACK BOX 整備マニュアル:作業上の注意(安全・分解・取り付け)
本ページは、サービスマニュアルに記載されている「作業上の注意」を省略せず掲載し、初心者にも理解できるように要点を整理したものです。
本文はサービスマニュアル記載内容に基づく要約です。
吹き出しはBLACK BOXとしての見解です。
上の表で全体像を掴み、気になる所だけ「詳細(タップで開く)」を読めばOKです。
■1. 自分の身を守るための「安全」
| 換気 | 密閉空間での作業は禁止。必ず換気する。 |
|---|---|
| 火気厳禁 | ガソリン/バッテリー充電中の火花・喫煙は禁止。 |
| 高温部 | 停止直後は高温。十分冷えてから作業。 |
| 薬品 | バッテリー液/冷却液/ブレーキ液の取扱いに注意。 |
| 粉塵 | ブレーキ粉塵は吸い込まない。エアで飛ばさない。 |
| 服装と確認 | ツナギ・安全靴。回転部に近づかない。2人作業は声かけ。 |
詳細(タップで開く):安全の注意事項
・空気の入れ替えを忘れずに
エンジン排気ガスには一酸化炭素などの有害成分が含まれます。密閉空間での作業は重大な危険につながるため、必ず換気を行ってください。
・火気厳禁(ガソリン・バッテリー)
ガソリンは非常に引火しやすく、蒸気は爆発の危険があります。
また、バッテリーの充電中には引火・爆発しやすい水素ガスが発生するため、火花が出る作業や喫煙は厳禁です。必ず風通しの良い場所で作業してください。
・高温部への接触禁止
停止直後のエンジンやマフラーは高温です。火傷を防ぐため、長袖の作業服や適切な手袋を着用し、十分に冷えてから作業してください。
・バッテリー液(希硫酸)の取り扱い
バッテリー液は腐食性があり危険です。皮膚や目に付着した場合は直ちに大量の水で洗い流し、必要に応じて医師の診察を受けてください。保管時は子供の手の届かない安全な場所に置いてください。
・冷却液(クーラント)の毒性
冷却液は有毒です。誤飲・皮膚・目への付着を避けてください。誤飲や異常がある場合は、速やかに医師の診察を受けてください。
・ブレーキ粉塵への注意
ブレーキ周辺の粉塵は吸い込まないよう注意してください。エアで飛散させず、クリーナー等で湿らせてから処理してください。
・ブレーキ液/冷却液の付着に注意
ブレーキ液と冷却液は塗装面、プラスチック、ゴム部品などを傷めます。付着させないよう注意し、付着した場合はすぐに水で洗い流してください。
・作業服と安全確認
ツナギ、帽子、安全靴を着用し、必要に応じて防塵眼鏡やマスク、手袋を使用してください。2人以上で作業する場合は、お互いに声を掛け合い安全を確認してください。回転部に服や手が巻き込まれると大怪我をします。ダボついた服装は避け、動いているものには近づかないでください。

TA02は空冷エンジンなので冷却水はありません。
それでも記載があるのは、安全事項が車種共通の形式でまとめられているためだと私は考えています。
ただし安全知識として重要なので、省略せず掲載しています。
■2. 分解・取り付けで失敗しないための基本
| 汚れを落とす | 作業前に洗浄し、砂や異物の混入を防ぐ。 |
|---|---|
| 純正/推奨品 | 部品・油脂類はホンダ純正部品、または推奨品を使用。 |
| ゴム部品 | 点検して早めに交換。揮発油や油脂を付着させない。 |
| 整理整頓 | 系統ごとに分けて保管し、元の位置へ戻せるようにする。 |
| 使い捨て交換 | ガスケット/Oリング/ピンクリップ/割りピン等は新品へ。 |
| スナップリング | 開けすぎ禁止。変形品は再使用しない。溝入り確認。 |
| 専用工具 | 専用工具が必要な作業は正しい工具を使用。 |
| グリス指定 | 指定箇所に推奨グリスを塗布/注入。 |
| 点検と測定 | 必要箇所を点検・測定し、組付けで元に戻す。 |
| 洗浄と給油 | 洗浄→エアで洗浄油除去→摺動面へオイル塗布。 |
詳細(タップで開く):分解・取り付けの注意事項
・整備前に車体の泥やほこりを落とす
作業前に洗浄し、砂や異物が作業部へ入らないようにしてください。
・純正部品/推奨品の使用
部品、油脂類は必ずホンダ純正部品、または推奨品を使用してください。
・ゴム部品の点検と保護
ゴム部品は分解時に劣化していないか点検し、必要な場合は早めに交換してください。
ゴム部品はガソリン、灯油などに弱いものがあるため、揮発油や油脂類を付着させないようにしてください。
・整理整頓(元の位置に戻すため)
各部品が元の位置に組み付けられるよう、外した部品は各系統ごとに整理し、区別して保管してください。
・使い捨て部品は必ず交換
ガスケット、Oリング、ピストンピンクリップ、割りピン(コッタピン)などは分解時、必ず新品に交換してください。
・スナップリングの取り扱い注意
スナップリングは取り外し時に開けすぎると変形し、組み付け後に脱落しやすくなります。
へたりや変形があるものは再使用しないでください。取り付け後は回して、溝に確実に入っていることを確認してください。
・専用工具は正しいものを使う
専用工具を必要とする作業には必ず、正しいものを使用してください。
・指定箇所には推奨グリスを塗布/注入
指定箇所には、推奨グリスを塗布または注入してください。
・分解点検とデータ測定
分解時に必要な箇所は点検・データ測定を行い、組み付け時に分解前の状態に復帰できるようにしてください。
・部品の洗浄と組み付け前の給油
部品は分解点検後、測定の前に洗浄し、圧縮空気で洗浄油を除去してください。
組み立て前には摺動面にオイルを塗布してください。
■3. ベアリングの取り扱い
| 外し方 | ボールに圧力がかかる外し方をしたものは再使用しない。 |
|---|---|
| 回転とガタ | 滑らかさ確認。ガタ過大は交換。 |
| ゴリ感 | 洗浄油で洗って改善しなければ交換。両面シールドは洗浄不可。 |
| 圧入ゆるみ | ケース/シャフト側がゆるい場合は交換。 |
| エアブロー | 洗浄後のエアでレースを回転させない。 |
| 組付け前 | オイル/グリスを塗布。 |
| 向き | 刻印面を外側へ。 |
詳細(タップで開く):ベアリングの注意事項
・圧入ベアリングの取り外し注意
圧入されているベアリングを取り外す時に、ベアリングのボールに圧力がかかる外し方をした場合は再使用しないでください。
・回転とガタの確認
ボールベアリングはインナまたはアウタレースを指で回し、滑らかに回転するか確認してください。
軸方向・直角方向のガタが過大なものは交換してください。
・ゴリゴリ感がある場合
ゴリゴリ感があるものは洗浄油で洗い、直らなければ交換してください。両面シールドタイプは洗浄できません。
・圧入部がゆるい場合
ケース、またはシャフトへの圧入部がゆるくなっている場合はベアリングを交換してください。
・洗浄後のエアブロー注意
ベアリングの洗浄後、圧縮空気で吹く時にレースが回転しないようにしてください。
レースが回転すると、限度以上に高速で回転して損傷することがあります。
・組み付け前の給油
ベアリングは組み付け前にオイルやグリスを塗布してください。
・片面シールドベアリングの向き
片面シールドボールベアリングの場合は、組み付け方向に注意してください。
開放型または両面シールドベアリングの場合、ベアリングメーカー・サイズ刻印のある面を外側に向けて取り付けてください。

刻印面を外側に向ける指示は、整備時に型番確認しやすくする目的が考えられます。
一説には刻印面は製造過程の基準面で精度が高いとも。。。
知らんけど
ここでは断定せず、サービスマニュアルの指示としてそのまま守る方針で記載しています。
■4. オイルシールの取り付け
| 向き | メーカー印のある面を外側(油のない方向)へ。 |
|---|---|
| リップ保護 | めくれ・バリでリップを傷つけない。 |
| グリス | リップ部にグリスを塗布して組付け。 |
詳細(タップで開く):オイルシールの注意事項
・メーカー印のある面を外側へ
オイルシールはメーカー印のある面を外側(油のない方向)に向けて取り付けてください。
・リップを傷めない
組み付け時にリップがめくれたり、バリでリップを傷つけないよう注意してください。
・リップ部にグリスを塗布
リップ部にグリスを塗布して組み付けてください。

私はゴム部品保護の観点からシリコングリスを使用しています。
これは公式指定ではなく、BLACK BOXとしての整備方針です。
■5. 汚れ混入・配線/チューブの注意
| 異物混入 | 油圧作動系統(ブレーキ等)にごみ・泥を入れない。 |
|---|---|
| ケーブル | 無理に曲げない/ねじらない。損傷品は交換。 |
| チューブ | 根元まで差し込み、クリップはへこみ跡に合わせる。ゆるいものは交換。 |
| ブーツ | 溝がある場合は確実にはめ込む。 |
詳細(タップで開く):配線/チューブの注意事項
・油圧作動系統へ異物を入れない
エンジン内部やブレーキなどの油圧作動系統の内部に、ごみ・泥などを入れないでください。
・ケーブル類は無理に曲げない/ねじらない
ケーブル類は無理にねじったり強く曲げないでください。変形や損傷を受けたケーブルは作動不良や破損の原因になります。
・チューブ類の差し込みとクリップ位置
チューブ類の取り付けは、ジョイントの根元まで確実に差し込んでください。
チューブクリップがあるものは、チューブのへこみ跡にクリップを合わせて取り付けてください。
取り付けがゆるくなっているチューブは交換してください。
・ブーツ(溝がある場合)のはめ込み
ブーツ類の取り付け溝がある場合は、必ずブーツを溝にはめ込み、取り付けてください。
■6. 合わせ面の処理と最終確認
| ガスケット除去 | 合わせ面のガスケット材は除去してから組付け。 |
|---|---|
| 打痕修正 | 当たり面の打痕はオイルストーンで均一に磨く。 |
| 締付け | 仮締め→規定トルク。大→小、内→外、対角で。 |
| ボルト長 | 長さ不明時は締め代が一定になるよう配列して確認。 |
| 最終点検 | 組立後は締付け・作動を必ず点検。 |
詳細(タップで開く):合わせ面/締付けの注意事項
・ガスケット材は除去してから組み付け
エンジン各ケースの合わせ面に付着したガスケット材は、きれいに除去してから組み付けてください。
当たり面の打痕は、オイルストーンで当たり面を均一にみがいて傷の山を取り除いてください。
・締め付けは仮締め→規定トルク
ボルト、ナット、ビス類の締め付けは仮締めをしてから、径の大きいものから小さいものへ、内側から外側へ、対角に規定トルクで締め付けてください。
・ボルト長の確認
ボルトの長さが分からなくなった時は、締め込む前に締め代が一定になるよう配列して確認してから使用してください。
・組み立て後の点検
組み立て後は、各部の締め付け、作動を必ず点検してください。

- 分解前に構造を十分に確認すること。
- 取り外した部品は整理して保管すること。
- 再使用不可部品は必ず新品に交換すること。
- 規定トルクで締め付けること。
- 締め付けは対角順で均等に行うこと。
- 異常を感じた場合は無理に作業を続けないこと。

不安がある場合は専門業者へ依頼してください。
