グリース(グリス)と潤滑油の違い
グリスとは
基油(ベースオイル)に増ちょう剤を入れて粘度を持たせ
そこへ添加剤を加えた半固体または固体状の潤滑剤
グリースのおもな成分と割合は、以下の通りです。
- 基油:80~90%
- 増ちょう剤:3~15%
- 添加剤:0.5~10%
①基油(ベースオイル)
まずはベースとなる基油についての話です
基油は大きく分けて以下の2種類に分類できます
- 石油や天然ガスなどの天然素材から製造される「鉱油」
- 人工的に製造される「合成油」
鉱油と合成油のおもな違いは、不純物の含有量
不純物の含有量が少ない合成油には、温度の変化によるちょう度(粘度)の変化や劣化が生じにくい。
普通のグリースの多くは鉱物油が基油
合成油を使うグリスの代表的な例はゴムを含んだ部品に使うグリースです。
グリースやオイルの選択ではゴムや樹脂への攻撃性に注意する必要があります
ゴムや樹脂へ影響を決めるのがこの基油の性質です。
ブレーキシリンダやゴム・樹脂対金属用のラバーグリースには
ゴムへの攻撃性のない化学合成油(ポリグリコール系、ポリエーテル系など)や植物系の基油が使われます。
シリコーンは耐熱性、安定性、ゴムや樹脂との相性も良いとされますが、その反面金属対金属の潤滑には不向きとされています。
フッ素はいずれの面でも高い性能を示しますが価格がちょっと高価です。
【基油別】グリスの耐熱性一覧表
グリスに使用されている基油別に耐熱性をまとめました。
■基油別の耐熱性能一覧表
基油の成分 | 耐熱性 |
鉱物油 | × |
PAO(ポリアルファオレフィン) | ◎ |
エステル | ◯ |
フッ素 | ◎ |
シリコーン | ◎ |
フェニルエーテル | ◎ |
②増調剤(増ちょう剤)
次に基油に次いで配合分量が多い増ちょう剤についての話です。
増ちょう剤はオイル(基油)を半固体状態に保持する機能を担っています
言ってみればあんかけに使う片栗粉みたいなものです
この増ちょう剤は全体の3〜15%を占めていて、大きく以下の2種類に分けられます。
- 金属石けん型
- 非石けん型
金属石けん型は、
ナトリウムとカリウム以外の金属塩と長鎖脂肪酸で構成されたものを増ちょう剤として使用します。
非石けん型は、
有機化合物もしくは無機化合物です。
金属石けん型と非石けん型は、使用可能温度が以下のように異なります。
- 金属石けん型:70~150℃程度
- 非石けん型:200℃以上も対応可能
増ちょう剤の種類によってグリスの耐熱性は大きく変化するため、あわせて確認しておきましょう。
主な増ちょう剤の特徴ざっくりグレード分けすると
カルシウム→リチウム→ウレア
下記の表で言うと下に行くほど高級・高性能といわれています
■石けん系グリスの耐熱性・使用可能温度一覧表
増ちょう剤の成分 | 使用可能温度 |
カルシウム石けん | 70〜100℃ |
カルシウム複合石けん | 120〜150℃ |
ナトリウム石けん | 120〜150℃ |
アルミニウム石けん | 80℃ |
アルミニウム複合石けん | 120〜180℃ |
リチウム石けん | 130〜150℃ |
リチウム複合石けん | 150℃以上 |
■非石けん系グリスの耐熱性・使用可能温度一覧表
増ちょう剤の成分 | 使用可能温度 |
ウレア系 | 180℃ |
有機化ベントナイト | 150〜200℃ |
シリカゲル | 150〜200℃ |
ナトリウムテレフタレート | 150〜200℃ |
PTFE | 250℃ |
適応温度の違いとは別に
増調剤の重要な働きとして最初に話した粘度を持たせるというのがあります
グリースには適性ちょう度が求められます。
なぜなら、形状や粘度が適切でないグリースを使用すると、漏れや油膜切れが起こりやすくなるからです。
使用箇所以外の部分にグリースが漏れると、機械が熱を持ったり抵抗が大きくなったりする可能性があります。
スムーズに動作させるためにも、適切なちょう度のグリースを使用することが重要です。
ちょう度は「NLGI(米国潤滑グリース協会)」や「JIS」により以下のように定められています。
ちょう度の番号(外観) | 混和ちょう度 |
000(半流動体) | 445~475 |
00(半流動体) | 400~430 |
0(軟質) | 355~385 |
1(やや軟質) | 310~340 |
2(普通) | 265~295 |
3(やや硬質) | 220~250 |
4(硬質) | 175~205 |
5(硬質) | 130~160 |
6(固体) | 85~115 |
基本的にはバイクいじりなどの目的で
1本だけ買うとしたら
ちょう度は②がおすすめです
③添加剤
最後は添加剤です
基油と増ちょう剤でグリスとしては既に完成しています
そこへ添加剤(モリブデン)や(極圧剤)など添加しさらに性能を向上させたり
特性を持たせます
使用目的や使用環境に合わせて各種添加剤が配合されます。
たとえば防錆、安定化、固体潤滑などの強化をねらって添加されます
・極圧耐性を上げるためにモリブデンやグラファイト・銅などの固体潤滑剤
モリブデンを添加するねらいは、ざっくりいうと基油がの潤滑を超えるようなときに、モリブデンの固体潤滑機能で補うというものです
(例えば、砂など異物の混入、基油の潤滑許容範囲を超えた衝撃、ギア同士のかじりなどの極圧発生)
しかしモリブデンやグラファイト・銅などは個体粉末であるが故に沈殿しやすくどのようにして均一に潤滑部に付着させ、保持させるか、という技術的課題であり
同じモリブデングリスと一言で言っても安価と高価なものでは大きな性質の違いがあります
ブレーキの鳴き止めグリースには
振動や共鳴を吸収するクッション性と高耐熱性が求められることから
比較的柔らかい性質の銅粉などが添加されます。
荷重を加えながら相対運動している2物体間の接触部において、薄い潤滑膜が存在するところと固体接触が生じているところが混在するような境界潤滑状態では、突起同士が接触しているところなどできわめて高い面圧が発生しており、この部分のことをいう。
グリスの種類について
でもこれリチウムグリスなんですよね?
ウレアグリスの方が良いんじゃないですか?
そうだねリチウムよりウレアの方が高性能と言われることから
これから買うなら当サイトではまず1本は
ウレアグリスのちょう度2号
これに極圧剤(EP剤)を添加した
シェル スタミナEPグリース2
これを推したいと思います
モリブデングリスは色々性能差があるんで
これ!っておすすめはなかなか出来ないですね
だね。
色々調べて選んでください
あとはシリコングリスですね
以上の3つ
普段使いの
・マルチパーパスグリス
金属対金属の極圧部に
・モリブデングリス
ゴムや樹脂への
・シリコングリス
これだけあれば完璧ですね
バイクいじりを始めたばかりだと
どんなグリスを買えばいいか?
どこに何を塗れば良いか?
なかなか難しいと思います
何を買うかは悩んだら純正指定のもので良いと思います
多少選ぶ目があるなら純正指定相当の安いモノを探すとか
この記事が多少参考になれば幸いです
BB所有グリス
リチウムグリース | |
商品名 | AZ 万能グリース |
基油 | 鉱油 |
増調剤(ちょう度) | リチウム石けん(2号) |
添加剤 | |
使用温度範囲 | -25℃~+120℃ |
リチウムグリース | |
商品名 | シェルアルバニヤ EP グリース NO.2 |
基油 | 鉱油 |
増調剤(ちょう度) | リチウム石けん(2号) |
添加剤 | 極圧剤(EP剤) |
使用温度範囲 | -20℃~110℃ |
モリブデングリス | |
商品名 | DAYTONAモリブデングリス |
基油 | |
増調剤(ちょう度) | |
添加剤 | 二硫化モリブデン |
使用温度範囲 | −10℃〜150℃ |
モリブデングリス | |
商品名 | AZ 二硫化モリブデングリース |
基油 | |
増調剤(ちょう度) | リチウム石けん(2号) |
添加剤 | 二硫化モリブデン |
使用温度範囲 | -25℃~+120℃ |
シリコングリース | |
商品名 | シリコーングリースM 高温用 M255 |
基油 | シリコン(ジメチルポリシロキサン) |
増調剤(ちょう度) | 非晶質シリカ(255?)かなり硬い |
添加剤 | |
使用温度範囲 | -40℃~260℃ |
スプレーグリス | |
商品名 | ヤマルーブ ワイヤーグリース |
基油 | |
増調剤(ちょう度) | |
添加剤 | |
使用温度範囲 |
注目グリス
スズキ機工 メタルグリス 300g BHMG01
スズキ機工超極圧潤滑剤 LSベルハンマーゴールド グリースNo.2 50ml LSBHG16